日々、診察を行っていますとどうしても患者さんの症状が治りきらないときがあります。すべての症状をきれいさっぱりなくせるならばどんなにいいだろう、と思うのは、患者さんは当然のことと思いますが、我々医療従事者にとってもそれは理想です。私たちは保険医療機関である以上、保険診療として認められた治療を行っていくのが原則ですが、世の中には保険で認められていなくても、効果があるといわれているものがあります。もちろんある程度の理論と安全性が担保されていないものはだめですが、それが担保されるのであれば(毒にならないのであれば)試してみるということは悪くないのではないかと思います。そういう思いから、当院ではいくつかのご提案をしています。

1.プラセンタ注射

プラセンタとは、胎盤のことです。胎盤は、赤ちゃんが母親のおなかの中にいるときにへその緒とつながり、母親から栄養素を送る組織です。胎盤の中には細胞を育て、活性化させる成長因子が豊富に含まれています。プラセンタには五大栄養素(タンパク質、脂質、糖質、ミネラル、ビタミン)の他、様々な成分が凝縮されていると言われています。

医療用に使われているプラセンタ注射薬は、ヒトの胎盤を酵素処理してその成分を抽出したものです。本来は慢性肝疾患の患者さんに使用されるものですが、それ以外にも様々な効能があるのではないかといわれています。

いくつか列挙しますと、

美白効果、保湿作用

細胞の増殖再生、コラーゲンの生成作用

抗酸化作用、抗炎症作用

抗アレルギー作用、自律神経調整作用

基礎代謝向上作用、創傷回復作用

解毒作用、体質改善作用

血行促進作用、血圧調整作用

などが報告されています。

2.にんにく注射

にんにく注射とは、昔は「アリナミン注射」と云われた注射のことです。注射をしているときに、にんにくの臭いがするので、いつの間にか「にんにく注射」と呼ばれるようになりました。にんにく注射の主成分はビタミンB1です。ビタミンB1には、炭水化物に含まれる糖質をエネルギーに変える酵素を助ける働きがあります。ビタミンB1によってエネルギーがスムーズにつくられることで、疲労回復や精神を安定させる働きが期待できます。当院では吸収力が優れているフルスルチアミンを主に使用しています。

3.膝関節に対するPRP治療(PFC-FD)

血小板は血液の一成分で、血管が損傷したとき損傷した場所に集まって止血をする働きがあります。その際、多量の成長因子を放出します。この成長因子には組織修復を促す働きがあります。血液から血小板の放出する成長因子を精製抽出し、それを使って組織修復を早くしたり、治りにくい組織の修復を促したりする方法がPRP(多血小板血漿)治療とよばれるものです。PFC-FDとはPRPを活性化、無細胞化したものを、さらにフリーズドライ化したものです。変形性膝関節症は、加齢や外傷により関節の骨・軟骨や靱帯、半月板の組織が損傷している状態です。ここに、自分の血液を採取して精製したPRPを投与(注射)することにより損傷した組織の修復を促します。膝関節の状態によって効果のほどは変わりますが、これまでの経験では50~70%の方に症状緩和の効果があったと報告されています。

4.エクオール

エクオールは大豆イソフラボンが、腸内細菌の力で変換されて生まれる成分。女性の健やかさと、美しさを保つ成分として期待されています。エクオールは、エストロゲンという女性ホルモンに似た作用を持ちます。以下のことに効果があると報告されています。

・手足の指を中心とした、他の治療法では取れない関節痛

・女性の方は、ホットフラッシュなどの更年期に生じる症状

・脱毛の軽減

・シミ、小じわなどの軽減

これらはいずれも保険診療として認められてはいませんが、試すことに大きなリスクはなく、かつ効果も期待できる方法と考えています。各々メリット、デメリットがありますので当院ではまず、医師より説明を行ってから施行することとしています。

詳しくは当ホームページの「診療のご案内」をご覧ください。