今回は、リウマチの原因に迫ってみたいと思います。リウマチは本来自分を守るべき免疫機能に異常が起きて、自分の体を敵とみなして攻撃してしまう自己免疫異常疾患の一つです。全身の関節や腱に炎症を生じ、徐々に関節が破壊されていきます。

なぜ異常が起きるのか、いまだにわかっていませんが、遺伝的要因と環境的要因が関与していることが明らかになりつつあります。

1.遺伝的要因

リウマチが多発する家系が存在すること、一卵性の双子は共に発症する確率が高いという報告があります。血液の一成分である白血球は外敵から身を守る役割をもっていますが、この白血球の細かい型(ABOではありません)を調べていくと、一部の型がリウマチ患者さんに多いということがわかっています。それ以外にもヒトの遺伝子のいくつかの部分にリウマチを発症しやすい部分があるということがわかってきています。しかしこれらがあったとしても、いずれも決定的な原因となるほどの頻度で発症するものではないこともわかっています。

2.環境的要因

遺伝だけでリウマチの発症には至らないことから、発症の引き金となる環境因子がないのか、も研究され続けています。

男性ホルモン・・・リウマチは女性に多い疾患ですが、女性ホルモンとの関連はなく、むしろ男性ホルモンが低い(女性でもわずかながら男性ホルモンは存在します)人が多いといわれています。

喫煙・・・喫煙は多くの研究でリウマチの発症率を上げるという報告がなされています。発ガン率の高さもあり、百害あって一利なし、です。

歯周病・・・リウマチの患者さんは歯周病の罹患率が高いという報告があります。また、歯周病を治療することによりリウマチの状態がよくなるとする報告もあります。

以上のことをまとめると、ひとつの仮説ができあがります。「血縁の方にリウマチの人がいて、自分なり同居家族に喫煙の習慣があり、歯周病はあるけど治療をしていない、あるいはしているけど治らない。こういう人はリウマチになる可能性が高い。」

これはあくまで仮説であり、今後の検証を待たなければなりませんが、タバコをすわない、歯を大切にするということは色んな面で大事であることは疑いのないところだと思います。