変形性膝関節症の患者さんが症状と上手に向き合ってやっていけるかどうかは、心の持ち方に左右されるという研究結果が最近発表されました。痛みがあっても、自分の体力に自信をもっていると、そうでない場合に比べて活動的になるのだそうです。
変形による膝の痛みを抑えるには体を動かすことが大事だということは今まででも示されていますが、痛みのせいで十分な運動を行えていない患者さんは少なくありません。アメリカの学者さんが、患者さんの「自己効力感(何かに対し、「私はこれをできる、成し遂げられる力がある」という期待や自信)」が、毎日の身体活動に及ぼす影響について調査しました。
変形性膝関節症の患者さん135人を対象に、22日間にわたり毎日の歩数と身体活動量を測定し、活動的であることに対する自己効力感と痛みの強さ、全体的な気分も毎朝記録しました。
その結果、朝の時点で自己効力感が高いと、その日一日の歩数や身体活動量が多くなりました。これは痛みの強さや全体的な気分、家族のサポートなどの状況の変化にかかわらず多くなったそうです。また患者さん個人のなかでの自信の変化が、身体活動量に強く影響することも示されました。
つまり、「できる」と思うことが最も大切であり、患者さんの身体活動を向上させるには体力に対する自信を高める。「あ、私ってこんなにできるんだ!」、と思える状況を作り出すことが重要なのだということです。
当院ではリハビリスタッフによる筋力、体力の向上、バランス能力の向上を図っています。ひとりではできないことも、みんなでやれば「できる」という気持ちが持てる可能性があがります。気軽にご相談いただければと思います。