たばこが体に悪いということは今や誰でもご存知のことと思います。2020年の東京オリンピックにむけて、公共の場では原則禁煙とする動きがありますが、色々な利害が絡んでどうなるかは未知数です。近年、禁煙のための治療も保険が効くようになり、喫煙される方は減りつつありますが、それでも日本では男性の3割、女性の1割の方が喫煙されています。喫煙される方にとっては耳の痛い話でしょうが、たばこは、百害あって一利なし、です。今回は、たばこがいかに恐ろしいものであるかを書いてみたいと思います。

たばこを吸う方は、医学的には病人とみなされます。病名は、「ニコチン依存症」です。覚せい剤などの薬物中毒者と同じ扱いです。

*国際がん研究機関の分類では、喫煙による発がん性のリスクは、アスベスト・放射線・ダイオキシンと同じであるとされています。原発が怖いといっていても、喫煙していれば意味がないということになります。

*それでも吸いたいものは吸いたいし、自分が悪くなるだけやからいいや、とか、もう年やから、少々寿命が縮んでも変わらんわ、とか思っている方に。

たばこは自分だけでなく、周りの人にも煙をすわせることで多大な害を及ぼします。

*日本では夫の喫煙により毎年数千人の女性が肺がんで死亡します。

*赤ちゃんや子供のいるご家庭の方。乳児が突然死亡する、乳幼児突然死症候群は、同居者が喫煙していると発生率が5倍になります。喘息になる子供が2倍になります。虫歯になる確率も2倍になります。IQもさがり、子供の成績は落ちます。

だから、換気扇の前で吸っている、とか、ベランダで吸っているから大丈夫、とか言われる方へ。

喫煙者が、外でたばこを吸いおわってから室内へ入ったとしても、吐く息の中に含まれるニコチンで、子供のニコチン濃度が2倍になります。換気扇の下で喫煙しても子供のニコチン濃度は3倍になるというデータがでています。

更には、喫煙者の衣服からはたばこの臭いが漂いますが、これは付着したたばこ成分が徐々に蒸発しているためで、その中にも発ガン物質が含まれていることが明らかになっています。たばこのにおいはお父さんのにおい、とか言っている場合ではないのです。発ガン物質をにおっているわけですから。

たばこの煙も吸い取る優秀な空気清浄機。これを置いていれば安心。と思っている方。

今売っている空気清浄機にはたばこの有害物質を除去する効果はほとんどありません。煙の成分は気体と粒子にわけられ、95%は気体成分です。空気清浄機は粒子しか捕まえることはできないので、有害物質の95%は空気清浄機を素通りし、有毒ガスをかえってまきちらしていることになるそうです。これは厚生労働省からの報告です。

*つまり、あなたの大切な家族をたばこの害から守るためには禁煙するしか道はないのです。

喫煙されている方へ。あなたが、あなたのすぐ横でアスベストや放射線をまきちらされたら、どんな気持ちになりますか?たばこを吸うということはそれと同じであるということを認識して頂ければと思います。

*最後に整形外科医としてひとこと。腰や膝のいたみ、肩こり。なかなか治らず困っている方。禁煙すれば、あるいは家族さんが禁煙すれば、その痛みはとれるかもしれません。ちゃんとしたデータがでています。

 

みなさん。それでもたばこを吸いますか?