最近テレビや雑誌でスマートフォン(スマホ)の使いすぎが話題になっています。1日10時間使って、もはや中毒という状態の人もいるようです。そんな状態では体に障害がでてくるのも当たり前です。スマホに限らず、パソコンや読書、勉強、編み物など長時間同じ姿勢で作業を行うことで肩こり、首凝り、眼精疲労、頭痛、腰痛などの様々な症状が起きてきます。とはいえ、スマホやパソコンを排除するわけにも行かないわけで、問題は同じ姿勢をとり続けることにあります。今回はこういう症状に対するお話をしてみようと思います。

人間は頭をてっぺんにして歩きます。頭の重量はおよそ体重の10分の1(5,6kg)といわれていますから、首の上にお米1袋を乗せているようなものなのです。それでも重いな、と感じないのは人間の体の優れた構造のおかげなのです。首の骨は、背骨や腰の骨と共に絶妙なバランスをとることで重い頭を重いと思わせないようにしています。よく首の骨の格好が悪いから頚部痛や肩こりの原因になるという話をききますが、これについては諸説あり、実ははっきりしていません。

ところがスマホやパソコンを見るときの姿勢は頚椎から背骨にかけてのいいバランスが前のめりに崩れていることははっきりしており、首の後ろから背中の筋肉が重い頭を引き上げるためにかなり緊張していることがわかっています。この状態が長時間続けば筋肉の緊張により血流障害が起き、酸素や栄養が十分に行き渡らなくなります。その結果疲労物質が筋肉に蓄積され、これが筋肉の緊張をさらに強くするという悪循環ができてしまいます。これがいわゆる頑固な「凝り」なのです。

ではどうしたらこれらの症状を防ぐことができるのでしょうか。まずは原因を取り除くこと、すなわち長時間同じ姿勢を続けることをやめることです。何かを始めると夢中になり途中でやめることは難しいので、一定の時間をきめて、たとえばアラームを鳴らすなどしてその時間がきたら適度な休態をとり、血行をよくするために首や背中、腰のストレッチをすることです。

一度「凝り」になると慢性化しやすくなります。緊張を解くために睡眠時間を十分にとる、時にはジョギング、水泳やエアロビといった全身運動を行うのも大切です。

長引く凝りには、単なる肩こりではなく、まれに放置できない疾患や内臓疾患(心疾患や肝臓疾患)が潜んでいる場合があります。凝りが長引く場合には医師の診察を受けることも大事です。お気軽にご相談下さい。