今回はリハビリスタッフ職員からの投稿です。

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当院には毎日多くの患者様が来院されます。患者様が帰られるまでスタッフ一同細心の注意を払っています。

最近の医療はサービス業の側面も備えていますが、医術には含みません。当院は院長の方針に基づき医術にこだわっていますので、変形の予防も含めた厳しい指摘に対して、ご気分を害されて帰られる方もいらっしゃいます。私は予約の患者様に個別対応させて頂いていますが、院長の方針にもとづいて、あえて厳しいご指摘をさせて頂く事もあります。

来院される患者様はマスコミやネットの影響もあって身体に関する知識は豊富でいいのですが、大事なことは、マスコミの情報はあくまでも一般的であって、その人の症状に合っていない場合があります。症状を聞いて身体を確認しないと後で取り返しのつかないことになる場合があります。例えば関節の痛みの場合、少々の痛みを我慢して筋力を強化すれば治るのか、そうではなくて、今はどのレベルにあるか吟味して、薬物や物理療法で炎症や痛みを抑えるべきかなど、当院では毎日の症例検討会の中で検討して方針を立てた上で指導していますが、患者様にどうしても納得してもらえない場合があります。そんな時に相性について考えることがあります。

イタリアのパレット博士の説に、2、8の法則があります。「蟻が100匹いたら、前向きでよく働くアリは2割で後の8割は無難に働いて、その中の2割は全く働かないそうです」従って2,6,2の法則ともいわれます。もっとわかりやすく言えば、人が集まる所には、気の合う人が2割、どちらでもない人が6割、全く気の合わない人が2割いるということになります。しかし医術にこだわる以上は患者様のことを第一に考え、根気よく対処させていただいています。変形もなく治って良かったと喜ばれる患者様がおられる一方、来院されなくなる患者様もいらっしゃいます。それでもできるだけ皆様のお役に立てるよう研鑽したいと思っていますのでよろしくお願いいたします。

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以上です。いわゆる、うまが合う、合わないは人間である以上、どうしてもあると思います。我々がよかれ、と思って説明、提案をしても、それはできない、他に方法はないのか、といった返事をされることはままあります。当院の理念にも書いていますが、医療というのは我々医療従事者だけの力でどうにでもなるものではありません。我々ができることは医学的知見に基づいて患者さんの病状について診断をおこない、それに対する数ある治療の中から、その患者さんに最良であろうとおもわれるものを選択し、アドバイスすることです。患者さんがそのアドバイスに納得され、同意してその治療を受ける。しばらく治療してみて、思ったようにうまくいかない場合は、また相談、診察をして、他の治療を行ってみたり、精密検査をおこなったりして、試行錯誤していく。そうやって医師と患者さんがタッグを組んで、傷病に立ち向かっていくことが大事であると考えます。そういう気持ちから私が一生懸命説明し治療方針を説明しても、なかなか患者さんの同意を得られない時もあります。そこにはやはりイタリアの博士がいうような法則はあるのかな、と思います。

一つの治療方法を提案しますと、「それをやれば治るんですか?」と聞いてこられる患者さんが最近増えてきています。結果をすぐに求めてくる風潮があるなあと感じます。前述したとおり、医療には不確実性がどうしても伴います。また加齢に伴う疾患であれば、歳をとるにつれ悪くなることはあっても、良くなってずっと元気に過ごせると保証することはできません。でも長い目で我々と一緒にタッグを組んで頑張ってもらえるのであれば、たいていのことはいい方向にもっていける自信は我々にはあります。医療というものは迷路のようなものだと考えます。行き止まりに当たらずにゴールまでたどり着くということはまれです。でも我々と一緒に歩いてくれれば、行き止まりに当たる回数を減らして、ゴールにたどり着く可能性をあげることはできると自負しています。非常出口がら出てしまわず、一緒に頑張ればゴールにたどり着けるということを患者さんにわかってもらえるよう、努力していこうと思います。