長い間ブログを更新していませんでしたが、これからいろいろとりとめもないことをまた書いていこうと思います。
皆さんは「フレイル」という言葉をご存じでしょうか。フレイルとは日本老年医学会が2014年に提唱した概念で、日本語にすると「虚弱」です。健康な状態と要介護状態の中間に位置し、身体的機能や認知機能の低下が見られる状態のことを指します。フレイルは、筋力低下などの身体的要素、認知症やうつなど精神的・心理的要素、独居や経済的困窮などの社会的要素で構成されます。ですからフレイルの進行を予防するためには、これらの3つの側面から総合的にみて対応する必要があります。
我々整形外科は運動器疾患を治療するのが専門ですが、超高齢化が進む現代にあってはその予防を積極的に行うことも大事な使命となってきています。2007年に日本整形外科学会は、ロコモティブシンドロームという概念を提唱しました。これは、「運動器の障害のために移動機能の低下をきたした状態 」のことを表します。これは先にのべたフレイルの中の「筋力低下などの身体的要素」とほぼおなじ位置づけとなるため、最近では「ロコモフレイル」という言葉を用いることも多くなってきています。
社会保障費の多くを占める医療費をなるべく増やさないための政策の一つとして、国は今年度から後期高齢者健診に「フレイル健診」の概念を取り入れ、これを健診医療機関にチェックするように指示しています。健診を受ける方への質問票の中に運動器機能の低下を示唆する質問項目を入れ、これに当てはまる方に健診医療機関医師あるいは整形外科専門医、市町村の担当者が運動や体操、生活指導を行い、運動機能低下の予防指導を行うことを求めています。同じ年をとるなら元気にとりたいものです。健診で言われなくても、どうすれば足腰を弱らさず元気に過ごせるのか。相談したいなと思われる方h¥は、気軽に当院まで聞いていただければとおもいます。