さて、今回はスタッフからの投稿です。今回は人間が人間たる所以である、歩行のお話です。以下読んでいただければと思います。
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よちよち歩き
村上春樹のエッセイ集の中にイタリアの山村の特徴的な歩行の記事があります。足が曲がったよちよち歩きで、世界中どこにいてもすぐ見分けられるそうです。
高度経済国の日本人はどうでしょうか、私は日々のリハビリテーション業務の中で前かがみ姿勢で小股歩き、それに伴う体の変形などを数多く目にしています。
そんな時、私は大腰筋にこだわっています。これは姿勢や歩行に関係が深くて胸椎から大腿骨に至る太くて長い筋肉ですが体の深層にあるために、臍の付近でしか状態の確認ができません、しかし歴史的には約3千年前の中国の易経の中にもそれらしき記述があり、また650年の歴史を持つ能楽等の古典芸能の中には独自の鍛錬方法があります。
歩行に関しては、さし迫った事でもないので、変形が進んで歩けなくなると言っても真剣に受け止めてはいただきません、しかしそんな中で、簡単な自主トレだけど続けると凄い効果があり歩行が楽ですとの声も多く、今後も根気よく、こだわっていきたいと思います。
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以上です。
大腰筋は腰椎部から股関節前面を通り、大腿骨の小転子部というところにつく、人体の中では大きい部類の筋肉です。腸腰筋ともいわれます。姿勢保持、歩行のためには欠かせない筋肉であるものの、体の深部にあることから診察や画像ではとらえにくく、整形外科の分野でもあまりクローズアップされることのない筋肉です。しかしながら調べてみますと、愛知医大の整形外科名誉教授であられた故 丹羽滋郎先生、そして愛知県で開業されている太田邦昭先生はこの筋肉に着目され、腸腰筋拘縮の診察方法やブロック注射の方法、そしてその有用性について文献を残されておられます。私自身もスタッフの投稿を見るまであまり着目していなかったところであり、今回は勉強になったなあと感じています。